『ノッティングヒルの恋人』

監督・ロジャー・ミッチェル、出演:ヒュー・グラントジュリア・ロバーツリス・エヴァンス
例のごとく寝ようとしていたのに、スカパーのシネフィル・イマジカでやっていたので見てしまった。
正直、公開当時は「ハリウッドスターと庶民の恋」というシチュエーションだけ聞いて鼻で笑っていたのだが、いざ見てみたらよくできたロマンティック・コメディであった。まあ、脚本がリチャード・カーティスだからさもありなん。
いやまあ、二人が恋に落ちる瞬間とかは、まったくもってなにが要因なのか不明でそれこそ笑ってしまうしかないのだが、その後の展開、というかヒュー・グラントの周囲の人物まで含めてキャラクターの描き方が非常にうまい。二人の恋の本線に関係ない部分で十分見られる映画になっており、ぶっちゃけロマンティックの要素よりもコメディの要素が勝って面白い映画になった感じ。
実際、二人が共にすごした時間というのは賞味一週間あるかないか、それも二日間、三日間、二日間、と飛び飛びで、間は数ヶ月開いているのである。そんなんでよくぞここまで燃えられるな、と思わんでもないのだが、会えない時間が二人の絆を太くするともいうし、そんなことに突っ込んでたらコメディは見れないのでスルーする。
コメディの王道に相応しく基本的に悪役はおらず、皆いい人。でも、どこかしら間が抜けている人たち。彼らが関わりあうことで、二人の恋は現実にあったらおそらくは泥沼なのに、朗らかなものに感じられるようになっている。
そして肝であるクライマックスの告白シーンは皮肉も利き、それでいて見ているこっちも思わずガッツポーズしたくなる。いやー、うまい作りですね。
全体の構成というか大枠のストーリーだけとってしまうと、プラス起承転結それぞれのきっかけ部分だけ取り上げてしまうと頭を抱えてしまう映画なのに、キャラクターとシーンごとのエピソードだけで面白く見せることができるという模範的な映画でした。
それにしても、日本でも『スタアの恋』というドラマがあり、あちらも冴えない男と有名女優の物語であったが、やはりこの組み合わせは必然なのだろうか。
まあ、こういうタイプの映画はドリームを満たしてこそなわけだから、エリートサラリーマンとか配置しちゃうと、その段階でドリームが失われてしまうんだろうね。
それと、有名俳優と冴えない女、というシチュエーションになりにくいのは、勝手な想像ではあるが女性側から描いてしまうとシャレにならんことになるからだと思う。
そういう意味では、ドリーム映画として「もしかしたら自分も…」と妄想したくなること請け合いだが、一言だけ言っておく。
ただしイケメンにかぎる。*1

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*1:どう贔屓目に見てもヒューグラントはカッコイイ。映画の中でもイケメン設定だし