頑張れ GiRLPOP

 自分が好きな音楽のジャンルのひとつにGiRLPOPがある。ただ、残念ながらここ十数年このジャンルは盛り上がりに欠ける、というかほぼ死滅したジャンルのひとつとなっていた。
 原因はいくつかあるんだろうけど、先日、「【B面】犬にかぶらせろ!」このエントリーを読んでいたら「なるほど」と思わされる一説に出会った。

これは、90年代以降、歌謡曲がJポップと呼ばれ、歌手がアーティストと呼ばれるようになったときに起きたことに似ています。歌謡曲の時代は作詞家がいて、訓練を経て磨き上げられた歌詞が付けられた。だけど、アーティストと呼ばれる人たちが出てくると、彼らは自分で歌詞を書くようになった。そうなると、歌詞は歌い手の主観になる。そして、訓練を経ていないし、プロデューサーなどのチェックも経ないので、どうしてもつたないものになる。だけど、それこそがアーティストの生の言葉ということになって、むしろもてはやされる。

 自分がGiRLPOPにはまっていたのはなんといっても'80年代で、それはつまりアイドル全盛の時代でもあった。この時代は阿久悠をはじめとして、私が最も好きな作詞家でもある松本隆康珍化、それ以外にも森雪之丞秋元康といった作詞家が活躍した時代でもある。
 ひとりの「アーティスト」と呼ばれる歌い手が作詞・作曲・歌手の全てを兼ねるのではなく、作詞・作曲にそれぞれに職人とも言うべき存在がいて、同時にまた「職人」としてのアイドルがそれを歌うをいう時代であり、GiRLPOPはイコール「アイドル歌謡」であった。
 彼(彼女)らはアーティストとは別の意味でプロであり、言い換えれば主観ではなく客観の歌作りをしていた。それは現代風にいえばマーケティングの産物であったり、時流、トレンドを掴んだ上でのビジネスでもあったのである。

 どちらがよい、というわけではなく、個人的にはどちらも好きなジャンルであるのだが、前述したようにGiRLPOPはアーティスト全盛の時代に入るとともに衰退していく。ことに宇多田ヒカルのデビュー移行、かつてのアイドルたちと同年代の女性シンガーにも歌唱力、そして作詞・作曲能力が求められていったように思う。
 とはいえ、'90年代もTommy FebruaryやPUFFY、そしてモーニング娘。ハロープロジェクト)などはこの分野の代表選手として生き残っていたわけだが、ここ数年の間に彼女たちも第一線から退いていってしまった。

 そんな中、最近になってPerfumeがいきなり大注目を浴びることになり、オリコンをはじめとするヒットチャートを席巻するようになった。彼女たちは「テクノ」という分野で語られる存在なのかもしれないが、個人的には久々にGiRLPOPが盛り上がってきたように感じている。

 もうひとり、このGiRLPOPの流れではずしてはいけないのが「しょこたん」こと中川翔子である。特に『空色デイズ』以降の彼女の曲は、楽曲的なレベルも非常に高くなり、一般層にも広く受け入れられるものが多くなってきたように思う。新曲の『Shiny GATE』などは「これぞGirl's Pop」としかいいようがない一曲だ。

 『空色デイズ』がアニメの主題歌であったことがGiRLPOPの現在を顕著に表していると思うが、現代のGiRLPOPは死滅したわけではなく、実はアニメの主題歌、もしくは声優の楽曲として生き残っている。

 ただ、自分のようなアニメを殆ど見ず、声優にも詳しくない人間にとってはなかなか情報が入ってこないし、自分から入り込みにくい部分でもある。そんなわけで、今後はしょこたんのような一般層にも受け入れられるような形でGiRLPOPが復活してくることを期待したい。

空色デイズ 中川翔子

Shiny GATE Full PV - Nakagawa Shoko(中川翔子

空色デイズ(DVD付)

空色デイズ(DVD付)

Shiny GATE(DVD付)

Shiny GATE(DVD付)